シリンダーヘッドのチューニング
写真-1 フローベンチでの吸気流量計測 エンジンチューニングにおいて重要な作業の一つに吸気ポート、排気ポートの研磨があります。
研磨と言っても、巷の自動車雑誌に紹介されているようなポートをピカピカに磨く事ではなく、簡単に言えば、バルブが開いた時に如何に抵抗無くスムーズに混合気や排気を通過させるか、そのための最適形状に仕上げる作業を言います。
但しスロットルレスポンスや燃費を考えて、ポート径を極力大きくしないことが大切です。また、インテークバルブを通過して燃焼室に入った混合気が起こす渦(タンブルやスワール)についても、ポート形状が影響しますから注意する必要があります。
現在、高性能ガソリンエンジンにおいては4バルブが主流ですから、その燃焼室には燃焼効率向上のためにタンブル(縦渦流)が役立ちます。
日本で行われているほとんどのレースは市販エンジンをチューニングして使っています。それらヘッドのポートをどのような形状や大きさにするかはエンジンの使用目的、例えばレースやジムカーナー、時々サーキットも走る街乗り車などによって変わってきます。
そして研磨作業仕上がりの良否はポートを通過する空気量をフローメーターで計測し(写真-1)、グラフ-1のように研磨前後の流量を比較ことにより判断すると共に、必要な場合はタンブルメーターでタンブル強さを計測することもあります。
弊社では20年以上にわたってポート形状とエンジン性能の関係をレースや市販高性能エンジンで確かめ、顧客の皆様に最適なポート形状を持つエンジンを提供しています。
グラフ-1 Ferrari348のSTDポートと研磨後の流量比較
左図のように、高性能エンジンでも改良の余地は残されている事が分かります。ただし、フロー上昇分だけ出力が向上するわけではありません。
カムシャフトやエアクリーナーを含む吸気系全般、エキゾーストマニフォールドやサイレンサーなども見直す必要がありますが、もしこれら吸排気全般に手を入れられているにもかかわらず十分な出力向上が得られていなければ、ポート形状に問題がある可能性が大きいでしょう。
まだまだ出力向上の余地が残されているに違いありません。
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